衆議院の選挙戦もたけなわだ。
各政党のホームページをのぞいてみた。
たまたま自民党のマニフェストに目がとまった。
その文面はこうだった。
「変えるなら、ちゃんとした方向へ。
今、日本は、そして世界は、めまぐるしい変化の中にいます。
そのスピードに対応できるように、日本も、政治も、変わらなければならない。
しかし、やみくもにすべてを「変える」ことが、よいわけではない。
必要なのは、現実を見据えて時代遅れになったシステムをスピーディに改めな
がら、もともとある強みをしっかりと伸ばしていくこと。
改めるべきは改め、伸ばすべきは伸ばす。
私たち自民党は、リアルな政策を実行し、全力で日本を守ります。」
一見、当たり障りのない言葉が並んでいるようだ。
そうとも読めるように知的リソースを随分と蕩尽されたようだ。
だが、よくよく声に出して読むと興味深い言い回しに充ち満ちている。
と言うのは、言葉使いに省略や歪曲、一般化が見事になされているからだ。
もちろん、人が言葉を使うときにそれらの処理は避けられない。
つまり、そのプロセス自体が言語活動の本質だからだ。
3つの処理パターンをNLPはメタモデルと言う。
メタとは超える、事実をモデル化した言葉を指している。
メタモデルは、言葉使いを俯瞰したときに見られる型を分類する。
そうして言語化で省略や歪曲、一般化された情報を回復する。
思考や行動の制限を解除し、選択の幅を広げる。
さて、冒頭のような言い回しを考えるには随分とご苦労なさったことだろう。
といっても、文面をご作成なさったご担当者は無意識であるかもしれない。
では、どの当たりが興味深いかを少し見てみよう。
まず、「変えるなら、ちゃんとした方向へ」だ。
ここに「ちゃんとした」とあるが、どんな基準でかが省略されている。
さらに、具体的にどうなったらちゃんとしたになるのかも省略されている。
こうして、いきなり省略というメタモデルが聞こえて来る。
次に、「今、日本は、そして世界は、めまぐるしい変化の中にいます。」だ。
「日本」や「世界」とは具体的に何を言っているのか。
変化の中にいないそれらの部分があるのだが、全てがそうであるように言う。
一部をして、全てとなすもの言いを一般化という。
「変化」とあるが、誰が(何が)、何を、どのようにするのか。
ここには変化の主語も、目的語も、動詞も省略されている。
このパターンを名詞化というが、動的である事象が物的に表記されるからだ。
更に、「そのスピードに対応できるように、日本も、政治も、変わらなければ
ならない。」とある。
まず、先と同様に「日本」とあるが具体的には何を言っているのか。
日本とは具体的に何なのか、誰なのか、何処なのか、沢山の省略がある。
更には、一部をもって日本とする一般化もあるやもしれない。
また、「政治」も同様だ。
これまた、多くの省略や一般化がなされている。
変化しないことを党是としてきた政党が何でも丸めるのはどうだろうか。
注目は「変わらなければならない」の「ならない」部分だ。
この部分は必要性を強調した言い回しだが、必要性の叙法助動詞と言われる。
この言い回しは選択と行動の自由を制限していることに気づける。
しかも、保守第1党がこの言い回しをされて宜しいのだろうか。
某国大統領の言い回しを模倣されているようだが、いかがなものか。
この言い回しに対して「もし変化しなかったとしたら」と問いたくなる。
麻生総理大臣は、「我が党は、革命を求めていません」と仰る。
まるで、逆のことが、その言い回しに見られるのが興味深い。
一文飛ばし、次の分に「・・・時代遅れ・・・」とある。
これも省略なのだが、何に比べて、だれの基準で、そうなのだろか。
NLPを語る人間は性格が悪いと誤解されそうなので、この辺で止めよう。
言語活動に省略や歪曲、一般化は避けられないことはご案内のとおりだ。
だが、国政が問われる中ここまで(巧みに?)書かれるとどうか。
NLPは逆メタモデルというモデルを持っている。
そのモデルをミルトンモデルと言う。
現代催眠の祖、ミルトン・エリクソンの言葉使いがモデルだ。
メタモデルは省略や歪曲、一般化された情報を回復する。
ミルトンモデルはメタモデルとは逆に、省略や歪曲、一般化する。
このモデルは、省略や歪曲、一般化された情報を聞き手が補うようにする。
つまり、聞く人が無意識に勝手に色々な想像をするように作用する。
この言語パターンは、前述のように催眠言語のパターンなのだ。
この言い回しによって、読み手は勝手に解釈をせざる得ない。
そうして、勝手に自らの信じ込みを作り暗示をつくる。
そのような働きをミルトンモデルはする。
さて、自民党のマニフェストはミルトンモデルに満ちているとも言える。
その言い回しを通して、国民にどのような暗示をしたいのだろうか。
はたまた、どのような解釈を期待しているのだろうか。
その意図するところは何とも興味深い。
革命を示唆しているのだろうか。
まさかね。
記:NLPトレーナー 近藤哲生
近藤哲生事務局が西島からお知らせします。
今回のような言葉のパターンも講座で近藤はお話しています。
9月もマインドマップ基礎講座に近藤が登壇しますが、参加してみませんか。

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